イ課長ブログ:2012.3 欧州出張
4日 日曜 成田からフランクフルトへ。午後着。フランクフルト泊。
5日 月曜 フランクフルトで仕事。2件訪問。フランクフルト泊。
6日 火曜 早朝ブリュッセルに移動。アントワープ観光&オペラ鑑賞。ブリュッセル泊。
7日 水曜 ブリュッセルで仕事。2件訪問。夜、空路でミラノに移動。ミラノ泊。
8日 木曜 午前中ミラノで仕事。少しミラノ観光して夜は現地で会食。ミラノ泊。
9日 金曜 朝発ち。ミラノからフランクフルト経由で帰国。機中泊。
10日 土曜 朝、成田着。
6日は「イ課長、仕事してねぇじゃん!」という叱責の声があって当然かな(笑)。
面談相手の都合で、こちらの目論見通りにアポが配置されず、キツい日、ユルい日が
出来ることもあるけど、今回は6日が見事にユルユルになってしまった。
まぁ出張中はいろんなところに行き、いろんな経験をしたわけだけど、
とりあえず、今回の出張で最も感動的だった体験を最初に書こう。
それは帰国する日、3月9日に乗り継ぎで降りたフランクフルト空港での体験だ。
まずその時のイ課長の置かれた状況を整理しておこう。
①フランクフルト空港では、EU内→外への出国審査を必要とする乗継ぎの場合(今回の
イ課長はこれに該当する)、標準乗継ぎ所用時間は1時間とされている。
②ミラノからの便の到着予定時刻から、成田行きの出発予定時刻までは1時間20分。
けっこうギリギリ。ミラノからの便がちょっとでも遅れたりするとヤバい。
③今回の欧州出張で、イ課長はあるドイツ土産を買ってきて欲しいという強い要望を
会社の女子社員たちから受けていた(ま、今回に限らず、毎回なのだが)。
それは前にも書いたニーダーエッガーのマジパン(マルツィパン)で、ベルギーやイタリアの空港じゃ
売ってないから、帰りのフランクフルト空港が唯一の購入チャンス。(これね↓)
さて、イ課長はこの時こういう状況に置かれていたわけだ。
乗継ぎ自体、けっこう急ぐ必要があるが、さらに売店で土産を買う必要があって、
まぁ要するに非常にあせっていたわけだ。
もちろん、③の条件はいざとなりゃバックレてもいい。
だが、このニーダーエッガー、実はトホ妻も大好物だし(笑)、帰国直後にある
ホワイトデーのお返しにもちょうどいいから、最後にゴソッと買いたかったんだよ。
ところがミラノからの到着ターミナルと成田行きの出発ターミナルってのがエラく離れててさぁ…。
散々歩いた上にモノレールみたいな空港内移動システムに乗ってさらに移動。いらいら。
その上、まずEUから出る出国審査がある。ここで並ぶし…。時間はどんどん少なくなる。
さらに身体&手荷物検査がある。あー…ミラノの空港でも同じ検査されてんだからさー
カンベンしてくんねぇかなーー。いらいらいら。
ジャケットやコートを脱ぎ、ベルトをはずし、荷物と共にカゴに入れる。
イ課長自身は金属探知機のゲートをくぐる。もちろん問題なんて何もあるわけない。
早く荷物来ないかなぁ…時間ないよゥ…と思いつつ、ベルトコンベアの出口のところで
自分の荷物の載ったカゴが流れてくるのを待っていた。いらいらいら…
ここでトツゼン、手荷物検査の若い(たぶん)ドイツ人女性職員がイ課長に声をかけた。
「アーユージャーマン?(オマエはドイツ人であるか?)」
・・・?・・・
そりゃ確かに身長デカくて濃い顔つき。西洋人の考える典型的日本人とは
かけ離れているとはいえ、まさかイ課長のことをドイツ人とは思わんだろー?
キョトンとしてると、彼女がさらに質問してきた。
「スピークジャーマン?(ドイツ語を話すか?)」
やっぱりイ課長がドイツ人かどうか確認してるんだよ。
ドイツ語を話すかどうかを英語で聞くというのもヘンな話だが、おそらく彼女は
イ課長がドイツ語圏以外のニンゲンである可能性も考えて英語で尋ねたんだろうな。
イ課長としては当然こう答えざるを得ない。
「ノ~~(首ぷるぷる)」
すると彼女はイ課長に「ユア フェイス…(オマヘの顔は…)」と言って、
口をヘの字に曲げてしかめっつらをしてみせた後、こう言った。
「スマイル!スマイル!」
イ課長は瞬間的に激しく反省し、同時に激しく感動していた。いやマジで。
上に書いたようにイ課長はこの時、時間に追われてアセッていた。
手荷物検査で荷物を待ちながら、イライラした醜い表情をしていたことは間違いない。
見ず知らずの醜いオトコに、彼女は「アナタの顔、いまこんなヨ! 笑いなさい!スマイル!」と
わざわざ声をかけてくれたわけだ。
そう言われて、イ課長は恥じ入る思いだったよ。
乗継ぎの間にマジパンを買いたいなんてことに心を奪われ、イライラし、
ただでさえロクな出来じゃない顔を自分でますます醜くしていたなんて…。
このことを指摘してくれた、見ず知らずの女性空港職員には深く感謝したかった。
自分の荷物を受けとり、ジャケットやコートを身に付け、カバンを肩にかけると
彼女の指摘通り、目一杯のスマイルを浮かべてドイツ語で別れの挨拶をした。
「Danke schön, Tschüs (ありがとう、じゃね)」
気分的には彼女に投げキスのひとつもしたかったところだけど、まぁやめておいた(笑)。
過去に何度も書いてるように、海外出張中って常に失敗できないプレッシャー下にある。
帰国便に乗っちゃえばもう何も心配する必要はないわけなんだけど、この時は
「短い乗継ぎの間にマジパンを買う」ことが、いわば出張最後のハードルだったんだよね(笑)。
常に心配事やリスクを考え、ミスなく油断なく行動することが求められる単独海外出張。
仕事の面談中に笑うことはあっても、仕事が終われば話相手なんて誰もいないわけだから
笑うことなんてほとんどない。そう考えると、海外出張の間じゅうずーーーっと、イ課長は
貧しく、険しい表情をしてたに違いない。
フランクフルト空港のあの女性職員がイ課長の境遇をそこまで読み取ったかはわからんが、
でもね、彼女の言う通りだよ。出張で顔つきまで貧しくなってどうする?笑いを忘れちゃいかん。
マジパンが何だというのだ。醜い顔になってまで、買うべきものか?
つくづく、深々と我が身を反省し、あの女性職員の言ってくれたことに感動しながら、
イ課長は成田行きルフトハンザの出るC14ゲートに向けて急いだのであった。
(ま、このあと結局マジパンも買ったんだけどさ(笑))
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